「残置物あり物件ってなに?」
「残置物あり物件は借りても大丈夫なの?」
不動産ポータルサイトなどで物件を選んでいる際に「残置物あり」と記載のある物件をみたことはないでしょうか。
つまり、残置物あり物件とは、前の居住者が使用していた家具や家電が残っている物件をいいます。
この記事では、残置物あり物件を借りるメリットやデメリット、注意点などを詳しく解説します。
残置物あり物件に興味や不安を抱いている方は、ぜひ参考にご覧ください!
残置物あり物件は借りても大丈夫?
残置物あり物件を借りることに抵抗や不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。
部屋を借りる際は一般的に部屋には何もない状態のため、違和感を感じますが、特に違法だったり追加料金が発生したりするわけでもありません。
ただし、いくつかのデメリットや注意点があるので、それぞれを確認しておきましょう。
残置物あり物件を借りるデメリット
残置物あり物件を借りるデメリットは以下の2点です。
それぞれを詳しく解説します。
処分する費用や手間がかかる場合がある
残置物を貰ったあとに不要になった場合、自分で処分しなければならない場合があります。
残置物は基本的に前居住者が大家さんの許可を貰って置いて行った物のため、所有者は大家さんであり、処分の際は大家さんにお願いすればよいです。
しかし、稀に許可を貰わずに勝手に置いて行った物が残置物としてあるケースがあり、この場合は所有者は前居住者であり、勝手に処分すると器物破損の罪に問われる可能性があります。
神奈川県弁護士会のサイト内に以下の記載がありましたので紹介します。
結論から申し上げますと、Yの残置物を勝手に処分するべきではないとのアドバイスになります。なぜなら、Yの残置物を勝手に処分したことで、例えば、民事上の問題として、Yの荷物を毀損したことによる損害賠償請求を起こされる可能性や、刑事上の問題として、「他人(Y)の物を損壊」したとして器物損壊罪等に問われる可能性があるからです。
引用:神奈川県弁護士会
※Y=前賃借人
この事例のように、勝手に処分すると思わぬトラブルに発展する可能性があるため、一度大家さんに相談するのをおすすめします。
故障しても実費で修理しなければならない場合がある
前述のとおり、大家さんに無許可で置いて行った残置物が残っているケースがあります。
この場合、残置物は大家さんの所有物ではないため、故障しても自分で修理するか修理に出す必要があります。
大家さんに修理や交換をしてもらうには、その残置物が大家さんの所有物であるか「設備」として設置されている物でなければなりません。
内見時に「設備」なのか「無許可の残置物」なのかを明確にしておくのをおすすめします。
残置物あり物件を借りるメリット
残置物あり物件を借りるメリットは以下の2点です。
それぞれを詳しく解説します。
家具や家電を無料で貰える
残置物は基本的に無料で貰えます。
なお、残置物の例として以下の物があります。
- テレビ
- 洗濯機
- エアコン
- コンロ
- 電子レンジ
- タンス
これらを無料で貰えるため、新たに購入する費用や手間がかからないのも魅力的なポイントです。
引っ越し費用を少しでも抑えたい方は、積極的に残置物あり物件を探してみましょう。
家具や家電を揃えずに引っ越せる
家具や家電を揃えずに引っ越せるのもメリットです。
特に、新生活をスタートする方や一人暮らしが初めての方は、生活するための家具や家電を一式揃える必要がありますよね。
残置物あり物件なら、物件にもよりますが最初からある程度の家具や家電を揃えた状態で借りられます。
家具や家電を揃える費用や時間がない方は検討してみましょう。
残置物あり物件を借りる際の注意点
残置物あり物件を借りる際は以下の点に注意しましょう。
それぞれを詳しく解説します。
設備と残置物の違いを明確にしておく
設備と残置物の違いをハッキリと理解するのが大切です。
設備とは、大家さんの所有物であり居住者へ貸し出す物のことをいいます。
一方で残置物は、大家さんの許可の有無に関係なく、前居住者が置いて行った物をいいます。
設備であれば、故障した際に大家さんに伝えれば、無償で修理や取り換えをしてくれます。
しかし、残置物の場合は自分で修理するか取り換えなければなりません。
このように、設備と残置物によって扱いが大きく異なるため、入居前に必ず確認しておきましょう。
契約書に残置物についての記載があるか確認しておく
残置物がある場合、契約書に残置物に関する事項について記載されているか確認しておきましょう。
部屋を内見した際に設置されていた家電や家具は必ずしも「設備」とは限りません。
ただの残置物の場合、設備だと思い込んで使用し、故障しても修理や交換をしてくれない可能性があります。
このようなトラブルがないように賃貸借契約書に記載されているケースが多いため、契約時に確認しておきましょう。
どんな残置物なのか自分の目で見ておく
部屋を内見して、残置物がどんな物なのかを自分の目で見ておきましょう。
不動産ポータルサイトなどに記載されている物件条件だけでは、実際の残置物の状況までは把握しきれません。
思っていたより古かったり劣化していたりする可能性もあるため、内見時にしっかり見ておくのをおすすめします。
勝手に処分できないケースがある
大家さんの許可を取らずに前居住者が置いて行った残置物の場合、勝手に処分できないケースがあります。
残置物といっても所有物は前居住者であり、勝手に処分すると損害賠償や器物破損の罪に問われる可能性があるからです。
3. 残置物を直ちに廃棄する場合の問題点
上記のように残置物の所有権はいまだ賃借人にあると考えられる場合に、これらの残置物を直ちに廃棄してしまうと、民事上の責任としては、所有権侵害を理由とする損害賠償義務が発生することが考えられますし、刑事上の責任として器物損壊罪(刑法261 条)等が成立する場合もあり得ます。
よかれと思って不要な残置物を処分したあとに前居住者が現れて「あの家具は私のだったんだけどどうしてくれるんだ」と言われる可能性もゼロではありません。
このような事態を避けるためにも事前に所有者を明確にしておき、処分の際は念のため大家さんに相談するのがよいでしょう。
まとめ:残置物あり物件は良い点も悪い点もある
残置物あり物件について解説しました。
最後にまとめて確認しておきましょう。
- 残置物あり物件は借りても問題ない
- 家具や家電を無料で貰える
- 引っ越し時の費用を抑えられる
- 不要になったら自分で処分しなければならない
- 勝手に処分すると器物破損の罪に該当する可能性がある
残置物は、前居住者が置いて行った家具や家電です。
無料で貰えるメリットがある一方で、勝手に処分すると器物破損の罪に該当する恐れがあります。
残置物あり物件に住む場合は、事前に「その残置物は大家さん公認なのか」を必ず確認しておきましょう。
公認であれば、故障した場合でも修理や交換をしてくれるかもしれません。
これから残置物あり物件を借りようとしている方は、ぜひこの記事を参考に物件を選んでみてください!