「専属専任媒介契約ってなに?」
「ほかの契約となにが違うの?」
不動産売却を検討している方で、このような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では専属専任媒介契約について詳しく解説します。
【この記事でわかること】
- そもそも媒介契約とは
- 専属専任媒介契約とは
- メリット・デメリット
- 専任媒介契約が向いている人
- 注意点
そもそも媒介契約とは
そもそも媒介契約とはどんな意味なのでしょうか。
まずは媒介契約そのものについて解説します。
不動産会社に「仲介」してもらう契約
媒介契約は、不動産を売ったり買ったりする際に不動産会社に仲介してもらう契約です。
不動産は個人でも売買できますが、専門的な知識が絡むため、不動産売買のプロである不動産会社に仲介してもらうのが一般的です。
媒介契約後は、主に以下のような活動をしてくれます。
- 物件をレインズへ登録
- 広報活動
- 重要事項説明
- 売買契約
- 業務報告
また、不動産会社によっては独自サービスまで受けられる場合もあります。
これらのことから、媒介契約は不動産をトラブルなくスムーズに売買するために必要な契約といえるでしょう。
3種類から選ぶ
媒介契約は以下の3種類から選べます。
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
- 一般媒介契約
専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 | |
---|---|---|---|
他の不動産会社への依頼 | × | × | 〇 |
自分で買主を見つける | × | 〇 | 〇 |
他社への通知義務 | 無し | 無し | 有(明示型のみ) |
REINSへの登録義務 | 〇 | 〇 | × |
契約期間 | 最長3ヶ月 | 最長3ヶ月 | 期間制限なし |
業務報告義務 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 無し |
それぞれで特徴が異なるため、自分の状況や売買の目的に応じて選ぶのがよいでしょう。
なお、この記事では専属専任媒介契約に特化して解説します。
専属専任媒介契約とは
専属専任媒介契約とは、1社のみに依頼して買主探しや広報活動まで一任する契約です。
複数の不動産会社へ依頼してはならず、自分で買主を見つけるのも禁止されています。
売主からすれば不動産取引をすべて不動産会社へ任せられるため、初心者の方や手間をかけたくない方におすすめの契約です。
専属専任媒介契約のメリット・デメリット
専属専任媒介契約にはメリットとデメリットがあります。
それぞれを理解してから選ぶかどうか判断しましょう。
メリット①:不動産会社に売却を一任できる
専属専任媒介契約は、1社のみと専属で契約するので売却活動を一任できます。
不動産売買は法律や税金などの専門的な知識が絡むため、一般の方には難しい取引です。
特に不動産売買が初めての方は、「ちゃんと売れるのかな」「トラブルにならないかな」などと不安に感じている方も多くいます。
専属専任媒介契約なら、不動産売買のプロである不動産会社が最後までサポートしてくれるので安心して取引できるでしょう。
メリット②:積極的に売却活動してくれる
専属専任媒介契約は不動産会社側からすれば、専属で任せてくれるので他社に成約を取られる心配がありません。
一般媒介契約で売却活動を進めた場合、手間や時間をかけて買主を探したり広告を出したりしても他社に取られてしまう可能性があり、不動産会社からすればリスクが高いです。
そして、他社に成約を取られてしまえば報酬はゼロ。
これまでの苦労は水の泡となってしまいます。
しかし、専属専任媒介契約であれば他社に取られるリスクがないため、しっかりと広報活動を行い、成約に向けて積極的に活動してくれます。
メリット③:各社のサービスを受けられる
専属専任媒介契約は、専属で任せてもらう代わりに独自サービスを提供している企業もあります。
例えば「三井のリハウス」では、引っ越しや建物調査、インテリアサービスまで提供しています。
ほかにも、万が一買主が見つからなかった場合に不動産会社に買い取ってもらえる「買取保障」まで受けられます。
このように、不動産会社によって多くのサービスを受けられるので、初めての方は専属専任媒介契約がおすすめです。
デメリット①:担当者の力量に左右されやすい
専属専任媒介契約を結ぶと、ほかの不動産会社に依頼できないだけでなく、自分で買主を見つけることもできません。
つまり、不動産会社の担当者にすべてを任せるため、担当者の力量によって売却額や売却スピードが左右されます。
また、大手不動産会社だからといって担当者が必ず優秀とは限りません。
「新人で知識がなかった……」
「自分と話が合わない……」
このように担当者といっても一人の人間ですので相性もあります。
専属専任媒介契約を結ぶ際は不動産会社だけでなく、担当者の質にも着目しましょう。
デメリット②:自分で買主を見つけられない
専属専任媒介契約は前述しているとおり、自分で買主を見つけてはならず、不動産会社が見つけてきた買主と契約しなければなりません。
実際の媒介契約書にも記載されています。
万が一、相談せずに取引してしまった場合は、契約違反となり何らかのペナルティを受ける可能性もあります。
自分の周りに物件を欲しがっている人がいないか確認してから専属専任媒介契約を結ぶとよいでしょう。
デメリット③:途中で解除できない
専属専任媒介契約は3ヶ月間の契約期間があり、基本的に途中解除できないのがデメリットです。
途中で媒介契約を変更したり、契約終了したりする場合は期間満了まで待たなければいけません。
勝手にほかの不動産会社に依頼などをしてしまうと、ペナルティを受ける場合もあるので注意しましょう。
専属専任媒介契約が向いている人
専属専任媒介契約は以下の人に向いています。
- 不動産会社にすべて任せたい人
- 売れにくい物件を売りたい人
- 早く売りたい人
どの媒介契約にしようか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
不動産会社にすべて任せたい人
売却活動に関するすべてを不動産会社に任せたい人に向いています。
前述しているとおり、専属専任媒介契約は広報活動から契約まですべてを不動産会社が行ってくれます。
「手間や時間をかけたくない」「初めてで不安だから任せたい」と思う方は依頼してみましょう。
売れにくい物件を売りたい人
売れにくい物件を売りたい人にも向いています。
【売れにくい物件】
- 駅から遠い
- 築古物件
- 事故物件
- 利便性が悪い
このような物件は需要があまりないため、買主が見つかりにくい特徴があります。
それでも、専属専任媒介契約なら不動産会社が積極的に売却活動してくれるので、一般媒介契約や専任媒介契約と比べて買主が見つかりやすい傾向にあります。
早く売りたい人
専属専任媒介契約は、一般媒介契約や専任媒介契約と比べて不動産会社が積極的に動いてくれます。
成約するために物件の掲載情報を多くしたり、色々な媒体に物件を掲載したりなどしてくれます。
そのため、買主も見つけやすく、早期売却につながりやすいといえるでしょう。
専属専任媒介契約の注意点
専属専任媒介契約について解説しましたが、契約時には以下の点に注意しましょう。
不動産会社選びは慎重に
専属専任媒介契約は一度契約すると、基本的に契約満了まで解除できません。
また、1社のみにしか依頼できず、ほかの不動産会社と比較したりほかの不動産会社に変更したりするのも基本的に禁止されています。
不動産会社選びで失敗してしまうと、最大で3ヶ月間はその不動産会社と契約関係となり、売却活動も思うように進まないでしょう。
さらに売却の長期化にもつながり、買い手からは「売れ残り物件」のイメージが付く可能性もあるため、不動産会社は慎重に選ぶのをおすすめします。
囲い込みの可能性がある
仲介手数料半額や無料の企業は囲い込みの可能性が高い
囲い込みの危険性についてお伝えしましたが、見分けるにはどうすればいいのか解説します。
最も多いものとして、「仲介手数料半額!」「仲介手数料が今だけ無料!」などの謳い文句には気を付けましょう。
不動産会社の利益は基本的に仲介手数料だけです。
唯一の利益である仲介手数料を半額や無料にしてしまうのは、不動産会社にとって大きな痛手であり、メリットはありません。
これは、「売主からは仲介手数料を取らないけど、買主からは取るよ」と言い換えることもできます。
つまり、囲い込みをして両手仲介で成約できれば、売主からの仲介手数料が減ったとしても利益が出るということです。
遠回しに「囲い込みします」と言っているようなものなので、このような謳い文句には十分に気をつけましょう。
囲い込みを見破る方法
囲い込みかどうかを見破るためには、買主を装って問い合わせしてみましょう。
自分の物件に対して問い合わせをしてみて、「もうすぐ契約が決まりそうですので……」や「売主が出張中で……」などと言って来たら囲い込みの可能性は非常に高いです。
もし、自分で問い合わせるのがイヤなら友人や家族にお願いしてみましょう。
そして、囲い込みを確認できたら契約満了後に不動産会社の変更を行いましょう。
買い手側はどの媒介契約がいいのか
買い手目線でいえば一般媒介契約がおすすめです。
売主と違って買主は自分で好きな物件を選べるので、一般媒介契約の方が自分好みの物件と出会いやすくなります。
そもそも探す対象も異なっており、売主は買主を探し、買主は物件を探します。
物件探しは不動産ポータルサイトやチラシなどで簡単に探せますが、買主探しはそうはいきません。
親戚や友人などで買いたいと言ってくれる人がいれば別ですが、基本的に物件情報を宣伝して探す必要があります。
一般の方が行うにはハードルが高く、物件探しよりも難しいです。
このことからも、売主は専属専任媒介契約、買主は一般媒介契約がおすすめといえます。
まとめ:専属専任媒介契約は初心者におすすめな契約
専属専任媒介契約について解説しました。
最後にまとめて確認しましょう。
- 不動産会社に売却活動を一任できる
- 積極的に売却活動してくれる
- 他社と比較したり自分で買主を見つけられない
- 囲い込みのリスクがある
- 買い手は一般媒介契約がおすすめ
専属専任媒介契約にはメリットとデメリットがあります。
自分の状況や目的に応じて依頼するかどうか判断しましょう。
なお、初心者の方であれば不動産会社に一任できるのでおすすめです。
不動産売却を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください!